継戦能力 by 和歌山県知事
私は、行政が危機的課題を抱えている時、大事なことは継戦能力だと思います。行政を指揮しておりますと、時々大変な危機に遭遇いたします。自然災害に見舞われた時など特にそうであります。
発災後、初めの2、3日は、ほとんど全員が徹夜であったと思います。しかし、全体の指揮官である私としては、これに甘えているわけにはいきません。いくら志気が高くても、人間の生物的限界には勝てません。睡眠もとらないと、段々と判断が鈍ってきて、能力の高い人もその力を十分に発揮できなくなることがあります。私は、通常残業省と言われた通商産業省(現経済産業省)でずっと働いてきましたので、このことに対する感度は高いと思います。毎日毎日、国会対策や、法案作成や、国際交渉で、ほとんど寝られない日々が続くと、要員ひいては組織の能力が極端に落ちて参ります。
紀伊半島大水害の時も、直ちにこれを思い出しました。そこで、張り切ってバリバリ働いてくれている職員を3人1組として、順番に、2人が働いている時は1人が帰宅して寝て、その人が出てきたら、次に1人が帰って寝ることにせよと命じました。
コロナ対策も予想通り長期化しようとしていますが、保健所を中心とした専門知識のある中核部隊が疲弊することのないよう、全体の用兵を考えていくというのが指揮者である私などの仕事だと思っています。
その意味で、よくテレビで報道されたことですが、コロナが流行っている地域で保健所の職員が雑多な苦情電話に振り回されて多忙を極めて、肝心の陽性者の発見やお世話が出来ないと言って嘆いている場面が映されたりしました。テレビはそれを当たり前のように扱っていましたが、私はこれを見ていて、その地域の行政のリーダーは何をしているんじゃと思いました。
私は、今コロナと立ち向かう和歌山県職員のリーダーでありますので、こんなにも志気の高い専門的技術をもった職員軍団が疲弊して力を落とさないように、継戦能力に特に意を用いて頑張って参りたいと思います。
まともなことが書いてあってうれしくなってしまった…。これくらいまともなことを発信できる人がリーダーだと安心するなあ。
自分が身を置く現場についても継戦能力という観点で考えてみるといいかもね。いい視点をもらった。